「効果的なマラソントレーニング方法を学びたい」という方へ。
ウエハラです。
このブログは主にマラソンでサブ3(3時間切り)を目指している方に向けて記事を書いていますが、本記事はマラソン初心者でも参考になる内容を書いていきますので、マラソン初心者も敬遠せずにどうぞご覧くださいませ。
本記事は、「マラソン トレーニング計画の作成方法」について。
ターゲットは以下のような方々です。
■この記事を読んで欲しい人■
①
②
③
なぜ「トレーニング計画」を立てる必要があるの?
マラソンは長期的に練習しなければいけないスポーツです。
3ヶ月とか4ヶ月とか半年とか場合によっては数年かけてトレーニングすることもありますよね。
さて、それくらいの“長期戦”となれば、マラソン練習にはおのずと「計画性」というものが必要になってきます。
つまり、しっかりと設計された「トレーニング計画」を基に練習を積み重ねることがマラソン攻略の秘訣と言えます。
■この記事を読むメリット■
① 効果的な「トレーニング計画」の立て方が分かる。
② あなたの目標達成までの道のりをイメージできるようになる。
③ 一つ一つの練習が目標達成に繋がっているか意識して練習できるようになる。
では、より効果的なマラソントレーニング方法について学んでいきましょう!
■この記事を書いている人:ウエハラ■
●ランニング歴15年です。
●セルフコーチングなので自分で勉強しながらトレーニングしてきました。
●フルマラソンベストは2時間37分30秒。
●マラソン指導実績:3年間で8人がサブスリー達成。
●保有資格:NESTA-PFT (全米エクササイズ&スポーツトレーナー協会-パーソナルフィットネストレーナー)
ちなみに、動画でも解説してます。
文章を読むのが面倒な方は↓からどうぞ。
◼️動画版の解説はコチラ◼️
トレーニング計画の最重要ポイントは「逆算思考」
具体的なトレーニング計画の作成手順を説明する前に、まずは「トレーニング計画を立てる意義」や「トレーニング計画を作成する際のポイント」といったところを押さえましょう。
トレーニング計画 を立てるのは
「迷子にならないようにする為」。
なぜ「トレーニング計画」を立てる必要があるの?
さて、「なぜ、トレーニング計画を立てる必要があるのか?」という疑問に対する答えとしては、「迷子にならないようにする為」です。
「迷子」というのは・・・
●どういう練習をすれば良いのか分からない。
●何を目指して練習すれば良いのか分からない。
●この練習をすることで、自分が目指すところへ行けるのか分からない。
というように“分からない尽くし”の不安定な状態を指します。
だから、しっかりと「トレーニング計画」を設計し、あなたを確実に目標へと導いてくれるような指針が必要なのです。
計画がないと「本当に今やっている練習って意味あるのかな?」とかいちいち不安になっちゃうもんね…
目標から「逆算」してトレーニングを計画する。
ここまでで、「トレーニング計画」を立てることの重要性はご理解いただけたかと思います。
目標、つまりあなたが行きたいと思う目的地を決めなければ何も始まりません。
そして、トレーニング計画というものは、その目標から「逆算」して組み立てていく必要があります。
例) マラソンで3時間30分を目指すAさんの場合
目標レース:◯◯月◯◯日 「◯◯◯◯マラソン」
目標タイム:3時間30分
レース2週間前:1000m×5本 を◯◯/kmくらいのペースで走れるようになる。
レース1ヶ月前:30km走 を◯◯/kmくらいのペースで走れるようになる。
レース2ヶ月前:2000m×3本 を◯◯/kmくらいのペースで走れるようになる。
レース3ヶ月前:8kmペース走 をレースペースで走れるようになる。
上記の例のように、目標から逆算してトレーニング計画を考えることで「レースの◯◯週間前には、どれくらいのレベルに到達していないといけないよね」というイメージがしやすくなります。
目標から逆算して考えると、自分が今やっていることが目標に繋がっていると意識しやすいね!
「現状」と「目標」の間にあるギャップを、
トレーニングによって埋めていく。
ここで、少し「トレーニングの本質」について触れたいと思います。
トレーニングの本質は、「現状」と「目標」の間にあるギャップを埋めていくことです。
例えば・・・
例) マラソンで3時間30分を目指すAさんの場合
目標タイム:3時間30分
現状タイム:3時間50分
→ 「現状」と「目標」のギャップ = フルマラソンで20分
つまり、この「フルマラソンで20分」という走力のギャップをいかにして埋めていくかがトレーニングの本質です。
そして、トレーニング計画を立てる上では、このギャップを埋める為にどうすれば良いかを考えていきます。
・スピードを高める必要があるのか?
・スピード持久力を高める必要があるのか?
・スタミナを高める必要があるのか?
・練習量を増やす必要があるのか?
・練習の質を高める必要があるのか?
などなど、いろんな方法があるでしょう。
このギャップを埋める方法を考える為には、なるべく正確な「現状分析」そして「目標設定」が必要になるわけです。
目標設定は明確に行う
というわけで、まずは「目標設定が大事」ということをお伝えしたんですが、目標設定をする上で気をつけておきたいポイントを挙げておきます。
目標の「期日」と「到達ライン」をはっきりさせる。
これはマラソンに限らずなんですが、目標設定は必ず「期日」とセットです。
つまり、「いつまでにどのラインまで到達するか」という目標の立て方をしなければいけません。
※なお、目標達成の期日は3~5ヶ月後に設定するのがおすすめです。
これより短いとなかなか充実した練習を積み上げることができませんし、これより長いとモチベーションや集中力を維持し続けるのが難しいからです。
僕も「何となく“いつか”サブ3出来たらいいな〜」くらいにしか考えてなかったな。
正論すぎてツラたん・・・
目標を“VDOT”に変換する。
もう一つ、「目標設定」を行う上でのポイントは
「目標タイム」を“VDOT”に変換すること
です。
“VDOT”とは、ランナーの「走力」を表す指標のことです。
もし“VDOT”という言葉を初めて聞いた方、“VDOT”についてもっと良く知りたいという方は以下の記事で詳しく解説していますので併せてどうぞ。
→VDOTとは?自分の走力が分かるめっちゃ便利な指標です【ダニエルズ理論①】
例えば、
例) フルマラソンを2時間58分で走るランナーの場合
VDOT (走力):54
[VDOT=54に対応するトレーニングペース]
Eペース:5:14 ~ 4:38 /km
Mペース:4:14 /km
Tペース:4:00 /km
Iペース:3:41 /km
Rペース:1:22 /400m = 3:25 /km
以上のような「トレーニングペース」が求められます(あくまで、目安ですが)。
Mペースって何?
Tペースって何?
・・・
という方は、「5種類のトレーニングペース」について、以下の記事で解説していますので併せてどうぞ。
→【マラソン練習】どれくらいのペースで走るべき?5種類のペースまとめ【ダニエルズ理論②】
簡単に言えば、トレーニングの種類や目的によって異なるトレーニングペースがありますよ、というお話です。
じゃあ、サブ3が目標の場合は「VDOT=54」に対応するトレーニングペースで練習出来るようになれればいいってことだね!
「練習でこれくらい走れたら、レースではこれくらいで走れるだろう」という予測値が“VDOT”です。
自分の走力を知るためだけに毎回毎回フルマラソンを走る必要はないのです。
“VDOT”はあくまで予測値には過ぎませんが、世界の中長距離・マラソン界で長らく使われてきた指標ですし、一つの目安として活用するには十分な信頼性があります。
もちろん、“VDOT”は完璧な指標ではありませんが、「まずは基本型にはめてやってみる」という試行も大事です。
そこで自分には合わないと感じるものがあれば、自分なりの練習方法を模索していくと良いでしょう。
トレーニング計画の立て方【4つの手順】
さて、前置きが長くなりましたが、ここからは「トレーニング計画の立て方」をより具体的に解説したいと思います。
手順は4ステップです。
STEP1.
「現状VDOT」と「トレーニングペース」を把握する。
STEP2.
「目標VDOT」と「トレーニングペース」を把握する。
STEP3.
期分け (ピリオダイゼーション)
STEP4.
マイルストーンを設定する。
それぞれのステップをサクサクッと説明していきます。
より細かい解説は各ステップのリンクから個別記事へどうぞ。
STEP1.
「現状VDOT」と「トレーニングペース」を把握する。
まずは、あなたの“現状分析”を行います。
つまり「現状VDOT」とそれに対応する「トレーニングペース」を明らかにします。
ここでは、現状のフルマラソンのタイムが3時間15分であるBさんの例を見ていきましょう。
例) フルマラソンの自己ベストが3時間15分であるBさんの場合
現状VDOT (走力):48.7
[現状VDOT=48.7に対応するトレーニングペース]
Eペース:5:46 ~ 5:14 /km
Mペース:4:37 /km
Tペース:4:21 /km
Iペース:4:00 /km
Rペース:1:30 /400m = 3:45 /km
以上が、Bさんの「現状VDOT」とそれに対応する「トレーニングペース」です。
トレーニング初期はまずこのレベルから始めていきます。
より細かい解説記事はこちら。
→ 【トレーニング計画の作成 #1】「現状VDOT」と「トレーニングペース」を把握しよう【マラソン練習】
STEP2.
「目標VDOT」と「トレーニングペース」を把握する。
次は、あなたの“目標設定”を行います。
つまり「目標VDOT」とそれに対応する「トレーニングペース」を明らかにします。
なので、「2時間58分」というタイムを基準に考えてみましょう。
例) フルマラソンの目標タイムが2時間58分(サブ3)であるBさんの場合
目標:4ヶ月後の◯◯マラソンで「サブ3(3時間切り)」
目標VDOT (走力):54
[目標VDOT=54に対応するトレーニングペース]
Eペース:5:14 ~ 4:38 /km
Mペース:4:14 /km
Tペース:4:00 /km
Iペース:3:41 /km
Rペース:1:22 /400m = 3:25 /km
以上が、Bさんの「目標VDOT」とそれに対応する「トレーニングペース」です。
狙ったレースまでにこのくらいのラインまで走力をアップさせることが目標というわけですね。
より細かい解説記事はこちら。
→ 【トレーニング計画の作成 #2】「目標VDOT」と「トレーニングペース」を把握しよう【マラソン練習】
STEP3.
期分け (ピリオダイゼーション)
さて、STEP1~2で「現状」と「目標」のギャップが確認できました。
この後は「期分け(ピリオダイゼーション)」を行います。
例えば、一口に「マラソン練習」と言っても、あなたが伸ばすべき身体スキルはたくさんあります。
・スピード
・スピード持久力
・スタミナ
・筋力・・・
そこで、
「この時期はスピード養成に特化して練習する」
「この時期はスタミナ養成に特化して練習する」
といった具合に、練習目的ごとにトレーニング期間を分割して考えるのです。
こうした期分け(ピリオダイゼーション)を行うことによって、より効果的なトレーニング計画を立てることができます。
しかし、正直ここは自分でトレーニング計画を立てることにまだ慣れていない方はそれほど意識しなくてOKです。
確かに、どの身体スキルをどういう順番で鍛えた方が良いというのはいろんな考え方があります。
ですが、ここを気にし過ぎるとキリがないので、慣れない内は「全期間通して、全ての身体スキルをバランス良く鍛える」という意識で大丈夫です。
より細かい解説記事はこちら。
→ 【トレーニング計画の作成 #3】期分け(ピリオダイゼーション) を意識しよう【マラソン練習】
STEP4.
マイルストーンを設定する。
では、最後です。
トレーニングでは、「現状」と「目標」のギャップを埋める必要があります。
しかし、だからと言っていきなり「目標」ラインで練習をし始めるのは無理がありますよね。
そこで大事なのが、「最終目標(大目標)」に到達するまでの間に「マイルストーン(小目標)」を立てることです。
それだけ長い準備期間があるわけですから、「最終目標」だけ見てしまうと途中でモチベーションや集中力が切れてしまいがちです。
中々モチベーションを維持できないんだよなぁ。
だから、「マイルストーン(小目標)」を設置して比較的短期的な視点を持つことがモチベーション維持に効果的なんです。
では、マイルストーンの立て方の例を見てみましょう。
ここでは、I(インターバル)ペースに絞って見ていきます。
I(インターバル)ペースの代表的なトレーニングは「1000m×5本」ですね。
なので、以下の例を「1000m×5本」を行う際のランニングペースとして考えてみて下さい。
例)
フルマラソンの自己ベストが3時間15分、
4ヶ月後のレースでの目標タイムが2時間58分(サブ3)であるBさんの場合
[現状VDOT=48.7]
Iペース:4:00 /km
↓
[マイルストーン(1ヶ月後)]
Iペース:3:55 /km
↓
[マイルストーン(2ヶ月後)]
Iペース:3:50 /km
↓
[マイルストーン(3ヶ月後)]
Iペース:3:45 /km
↓
[目標VDOT=54 (4ヶ月後)]
Iペース:3:41 /km
という風に、段階を追ってトレーニングペースを上げていく感じです。
4ヶ月後に「目標VDOT」対応するトレーニングペースで練習できていればいいので、そこから「逆算」するとイメージしやすいと思います。
マイルストーンを立ててみると、確実に目標に近づいて行っている感じがするね。
これだとモチベーションも保てそうだ!
より細かい解説記事はこちら。
→ 【トレーニング計画の作成 #4】現状と目標の間に「マイルストーン」を立てよう【マラソン練習】
おまけ:
「目標設定ワークシート」をGETする。
準備中
まとめ:
マラソン トレーニング計画の立て方
では、まとめまーす。
【まとめ】
マラソン トレーニング計画の作成
1. 目標から「逆算」してトレーニング計画を組み立てよう。
2. 目標設定は「期日」と「到達ライン」を明確に。
3. トレーニング計画の作成方法
STEP1.
「現状VDOT」と「トレーニングペース」を把握する。
STEP2.
「目標VDOT」と「トレーニングペース」を把握する。
STEP3.
期分け (ピリオダイゼーション)
STEP4.
マイルストーンを設定する。
「トレーニング計画」を考えて日々の練習を行うことで、日々の練習にも明確な目的意識を持って取り組むことができます。
目標までの道筋がはっきりした中でトレーニングを続けるのと、何も考えずに計画性ゼロでトレーニングを続けるのとでは、その成果に大きな違いが生まれます。
みなさんも今一度、自分の目標までの道筋を再確認してみてはいかがでしょうか?
「トレーニング計画の立て方は大体分かった」
「次はもっと細かい日々の練習メニューの立て方が知りたい!」
という方は、以下の記事も併せてどうぞ。
→ 【まとめ】マラソン 日々の練習メニューの作成方法【4つの手順】
楽しいランニングライフを!