ダニエルズ理論

Tペース(閾値 ペース / Threshold Pace)とは?【ダニエルズ理論⑤】

 

「効果的なマラソントレーニング方法を学びたい」という方へ。

ウエハラ
ウエハラ
こんにちは。
ウエハラです。

このブログは主にマラソンでサブ3(3時間切り)を目指している方に向けて記事を書いていますが、本記事はマラソン初心者でも参考になる内容を書いていきますので、マラソン初心者も敬遠せずにどうぞご覧くださいませ

本記事は、もはやマラソンランナーにとっての“バイブル”“教科書”とも言える

『ダニエルズのランニング・フォーミュラ』 / ジャック・ダニエルズ 著

こちらの書籍を基に、その内容をなるべく分かりやすく、かつ本格的に解説していきたいと思います。

では今回は「ダニエルズ理論」シリーズ第5弾として。

Tペース (閾値 ペース / Threshold Pace)

これについて解説してみようかと思います。

※なお、本記事は前提知識として“5種類のトレーニングペース”について知っておいた方がより理解しやすいと思います。
“5種類のトレーニングペース”については以下の記事に書いていますので、まだ読んでない方は先に以下の記事を読むことをおすすめします。

↓↓↓

関連記事:【マラソン練習】どれくらいのペースで走るべき?5種類のペースまとめ【ダニエルズ理論②】

◆動画はこちら◆
↓↓↓

この記事を読んで欲しい人

マラソン初心者
マラソン初心者
前の記事を読んで“5種類のトレーニングペース”があるということは理解できたよ!
今度はその中の『Tペース』について知りたいぞ!

サブ3したい人
サブ3したい人
僕の走力レベルだと、『Tペース』ってどのくらいになるんだろう・・・?

サブ3したい人
サブ3したい人
『Tペース』については大体知ってるし、自分の『Tペース』も知っているんだけど、実際の練習でどのように『Tペース』を活用していけばいいのかがイマイチ分からないな・・・
具体的な練習法は何があるの??

この記事を読むメリット

『Tペース (閾値/Threshold)』の概要を理解できる。

自分のレベルに応じた『Tペース』が分かる。

『Tペース』の活用の仕方具体的な練習例が分かる。

この記事を書いている人(ウエハラ)

ランニング歴15年(2005年〜)です。
●セルフコーチングなので自分で勉強しながらトレーニングしてきました。
●フルマラソンベストは2時間37分30秒
●マラソン指導実績:3年間で8人がサブスリー達成
●保有資格:NESTA-PFT (全米エクササイズ&スポーツトレーナー協会-パーソナルフィットネストレーナー)

『Tペース (閾値 ペース / Threshold Pace)』 とは?

マラソン初心者
マラソン初心者
要するに『Tペース』って何?

『Tペース』とは、「ダニエルズ理論」における“5種類のトレーニングペース”の一つです。

『T』とは、Threshold / 閾値(いきち)を表しています。

マラソン初心者
マラソン初心者
イキチ・・・?
ウエハラ
ウエハラ
何やら難しい単語が出てきましたね。

「閾値(いきち)」とは「乳酸性作業閾値」のことで「LT値」と呼ばれたりもします。

マラソン初心者
マラソン初心者
???

ニュウサンセイサギョウイキチ・・・??
LTチ・・・??

ウエハラ
ウエハラ

「LT値」「閾値」「Tペース」とは、簡単に言えば「20~30分間継続できるくらいのペース」ということです。

ここまで読んでチンプンカンプンな方は「LT値」について解説した記事があるので、そちらから先に読むことをオススメします^^

『Tペース (閾値 ペース / Threshold Pace)とは、
20~30分間継続できるペース(練習時)」

まずは、『Tペース』の運動強度を感覚的な基準で表してみましょう。

Tペースの強度
(感覚的な基準)

20~30分間継続できるくらいのペース(練習時)
60分間継続できるくらいのペース(レース時)
終わるのが待ち遠しいペース

『Tペース』「LT値(乳酸性作業閾値)」はほぼ同じものと考えてもらって大丈夫です。

要するに、「血中の乳酸濃度が急激に上昇するポイント」=「乳酸が溜まり始めるポイント」です。

これは私逹の乳酸分解能力を超えたことを意味します。

「乳酸が溜まる」と、どうなるか?

呼吸が苦しくなってきて、身体が思い通りに動かなくなる

例:5kmを走る時に3kmを過ぎたくらいから、身体の動きが鈍りみるみるペースダウン。

皆さんも上記のように「ラクな状態」から「呼吸が苦しくなってきて、身体が思い通りに動かなくなる状態」へと転じる境界線みたいなものを感じたことはありませんか?

この場合、LT値を超えた(乳酸の分解が追いつかない)ランニングペースで走っていると考えられます。

人によっては、それは4:00/kmペースかもしれませんし、4:30/kmペースかもしれません。

『Tペース』をタイムで表すと個人差がありますが、なるべく大多数に共通する表現をするならば、20~30分間継続できるくらいのペース
レース時なら60分間継続できるくらいのペース
と言えます。

ちなみに、生理学的な数値で『Tペース』の運動強度を表すと以下のようになります。

Tペースの強度
(生理学的な基準値)

VO2max(最大酸素摂取量)の86~88%
HRmax(最大心拍数)の88~90%

上記の数値は特に覚える必要はないですが、参考程度に頭の片隅に置いておくと良いかと。

例えて言えば、

*VO2max(最大酸素摂取量)1000m×5本インターバルの時のペースにほぼ等しいので、『Tペース』はその約8.5~9割の努力感ですね。

『Tペース』トレーニング(閾値トレーニング)の目的

ここで、ダニエルズ氏のこの言葉を思い出してください。

常に必要なのは、「この練習の目的は何か」という問いに答えられることだ。

『ダニエルズのランニング・フォーミュラ』 / ジャック・ダニエルズ 著 より

はい。
では、『Tペース』で走ることによってどういったトレーニング効果が得られるのでしょうか?

Tペーストレーニングの主な目的

LT値(乳酸性作業閾値)の向上(乳酸処理能力を高める)。
持久力(速めのペースに持ちこたえる力)を高める。
ラクに走れる最速ペースを引き上げる。

これまで何度も出てきているワードですが、「LT値(乳酸性作業閾値)」
これを引き上げることが『Tペース』トレーニング(閾値トレーニング)の目的です。

「LT値(乳酸性作業閾値)」とは、乳酸が溜まり始めてキツくなり始めるペースですから、このラインを引き上げることによって、「ラクに走れる最速ペース」が引き上げられるということです。

この「ラクに走れる最速ペース」というのは僕なりの表現ですが、割とイメージしやすくないですかね。
どうですかね。

とにかく、マラソンの真髄は「いかにラクに、速く、長く走れるか」というところなのでこの「LT値(乳酸性作業閾値)」の引き上げはめちゃくちゃ重要です。

自分の『Tペース (閾値 ペース / Threshold Pace)』を知ろう!

サブ3したい人
サブ3したい人
ほほぉ。『Tペース』について何となく分かってきたぞ。

じゃあ、僕の走力レベルだと、『Tペース』ってどのくらいになるんだろう・・・?

ウエハラ
ウエハラ
自分の『Tペース』がどれくらいなのか気になりますよね。

『Tペース』を始めとした“5種類のトレーニングペース(E、M、T、I、R)”は、個人の走力レベルによって変わってきますので、それぞれで自分の『Tペース』を計算する必要があります。

代表的な走力レベル別の『Tペース』

ウエハラ
ウエハラ
まずは、代表的な走力レベルの『Tペース』をお見せしますね。

走力レベル(VDOT)別のTペース表

レベル VDOT フルマラソン Tペース
サブ2.5 67 2:28:40 3:21 /km
サブ3.0 54 2:58:47 4:00 /km
サブ3.5 45 3:28:26 4:38 /km
サブ4.0 38 3:59:35 5:19 /km
サブ5.0 29 4:58:00 6:17 /km
サブ6.0 23 5:56:30 7:13 /km

 

サブ3したい人
サブ3したい人
おお!ありがたい!
僕の目標はサブ3だから『Tペース』は 4:00 /kmかぁ。

これくらいのペースで『Tペース』トレーニング(閾値トレーニング)をこなせるようになれば、サブ3達成はかなり現実的になってくるということだね!

ウエハラ
ウエハラ
その通り!
でも、いきなりサブ3レベルの練習をするのは負荷が高過ぎるので、まずは現状に合ったレベルから練習していきましょう
現状の自己ベストはどれくらいですか?
サブ3したい人
サブ3したい人
そうかそうか。
段階を踏んでいかないといけないということだね。

僕の今の自己ベストは「3時間15分」
「3時間15分」の走力の人だと『Tペース』はどれくらいになるんだろう?

ウエハラ
ウエハラ
では、「3時間15分」の走力レベルにおける『Tペース』を計算していきましょう!

より細かい『Tペース』を求める方法は以下の通りです。

自分の『Tペース』を求める方法

①オンラインサービスの「VDOT計算ツール」を使う。

②書籍『ダニエルズのランニング・フォーミュラ』を読む。

①オンラインサービスの「VDOT計算ツール」を使う。

まず1つ目は、オンラインで簡単に自分の『Tペース』を調べる方法。
無料です。

それは、「VDOT計算ツール」を使うこと。

『VDOT』=“走力”

“5種類のトレーニングペース(E、M、T、I、R)”は、各個人の「走力レベル」によって異なるということでしたね。

ということは、まず自分の「走力レベル」を把握する必要があります。
そこで分かり易い指標となるのが『VDOT』

そして、その『VDOT』を基に計算して、あなたの走力レベルに応じた“5種類のトレーニングペース”を導き出すという手順です。

『Tペース』“5種類のトレーニングペース”の一つですから、その中から『Tペース』を確認すればOKです。

「VDOT計算ツール」を使って
自分の「VDOT」=“走力レベル”を確認する。

↓↓↓

「VDOT」から“5種類のトレーニングペース”を計算する。

↓↓↓

③ ②で求めた“5種類のトレーニングペース”の中から
『Tペース』を確認する。

僕が使っているオンラインの「VDOT計算ツール」はこちら。
ここから、あなたのVDOTおよび5種類のトレーニングペースを計算できます。
↓↓↓

『Jack Daniels’ VDOT Running Calculator』
/ Run SMART Project

英語サイトではありますが、使い方は簡単なので英語が分からない方でも慣れれば問題なしです。

このサイトの使い方については別記事で解説しますね。
↓↓↓

②書籍『ダニエルズのランニング・フォーミュラ』を読む。

次は、書籍で調べる方法。
↓↓↓

『ダニエルズのランニング・フォーミュラ』 / ジャック・ダニエルズ 著

ぶっちゃけ無料で手っ取り早く「VDOT」および“5種類のトレーニングペース”を調べたいだけであれば、1つ目で紹介したオンライン「VDOT計算ツール」を利用すればOKです。

ただし、「VDOT計算ツール」では特定のタイムで検索した分しか分かりません。

その一方で、書籍の『ダニエルズのランニング・フォーミュラ』には、「VDOT表」が記載されており様々なレベルのランナーに対応した「VDOT」“5種類のトレーニングペース”が一目で分かります

また、もちろんそれだけではなくこのブログでは紹介しきれないような深いところの解説までたっぷり収録されていますので、ランナーであれば手元に1冊置いておきたい良書ですね。

『ダニエルズのランニング・フォーミュラ』 / ジャック・ダニエルズ 著

サブ3したい人
サブ3したい人
①の「VDOT計算ツール」を使ってみたけど、めっちゃ簡単に自分の『Tペース』が分かったぞ。

僕の現状自己ベストは3時間15分
これはVDOT = 48.7に値するようだ。

そして、求められた『Tペース』は・・・ 4:21 /km

ウエハラ
ウエハラ
お!
「VDOT計算ツール」をバッチリ使いこなせていますね!

ここで計算したペースはあくまで目安に過ぎませんが、普段の練習をどれくらいのペースで走ればいいか悩んでいる人にとっては大変役立ちますので、定期的に確認してみると良いですよ。

『Tペース (閾値 ペース / Threshold Pace)』
活用方法具体的な練習例

サブ3したい人
サブ3したい人
『Tペース』については大体理解できたけど、実際の練習でどのように『Tペース』を活用していけばいいのかがイマイチ分からないな・・・
具体的な練習法は何があるの??

『Tペース』トレーニング(閾値トレーニング)には、以下のようなものがあります。

具体的な練習メニュー例

⑴ 20分間走 (テンポ走)
2km × 3~5本 クルーズインターバル【オススメ】
⑶ 3km × 2~3本 クルーズインターバル【上級者向け】

⑴ 20分間走 (テンポ走)

1つ目は

20分間走 (テンポ走)

※距離にすると、4000m~6000m走

P(ペース):Tペース

20分間走『Tペース』で実施します。

つまり、『Tペース』とは20~30分間継続できるくらいのペースなのだから、
「実際に20分間走っちゃえばいいじゃん!」
という凄くシンプルな考え方ですね。

ただし、普段の練習で20分間ぶっ続けで走るのは強度が高すぎるかもしれません。
なので、20分間走の中でペースを変化させるのもアリです。

例えば、

「20分間走」応用編

前半10分間は、Tペースよりやや遅いペースで走る。
後半10分間は、Tペースで走る。

といったように、現実的に取り組みやすいように各自調整するといいでしょう。

⑵ 2km × 3~5本 クルーズインターバル【オススメ】

「それでもやっぱり1発勝負で20分間走はシンドイかもな・・・」

という方にオススメなのが「クルーズインターバル」です。

「インターバル」というのはご存知の方も多いと思います。
速いランニングと遅いランニングを繰り返すトレーニングですね。

「クルーズインターバル」はインターバルの一種です。

「クルーズインターバル」とは・・・

『Tペース』のランニングを繰り返すトレーニング

「20分間ぶっ続けでTペースで走れ」と言われればシンドイですが、
インターバルという手法で短い休息を挟むことで、『Tペース』で走る総距離を増やすことが容易になります。

これが、僕が「クルーズインターバル」をオススメする理由です。

例えば「2km (Tペース) × 5本」であれば、距離にして計10km、時間にして約40分間(4:00/kmの場合)『Tペース』で走ることができますね。

↓↓↓

2km × 3~5本 クルーズインターバル

P(ペース):Tペース
R(リカバリー):90~120秒 ジョグ

Tペースで走る総距離 → 6~10km

「1kmのインターバル」に応用するなら以下のような感じ。
本数を多くして、『Tペース』で走る総距離を増やします

↓↓↓

1km × 8~10本 クルーズインターバル

P(ペース):Tペース
R(リカバリー):60~90秒 ジョグ

Tペースで走る総距離 → 8~10km

⑶ 3km × 2~3本 クルーズインターバル【上級者向け】

⑵と同じ理屈で、「3kmのクルーズインターバル」も有効です。

↓↓↓

3km × 2~3本 クルーズインターバル

P(ペース):Tペース
R(リカバリー):120~150秒 ジョグ

Tペースで走る総距離 → 6~9km

しかし、「3kmのクルーズインターバル」かなり集中力が要るので上級者向けです。

あるいは、ランニングクラブの練習会で実施したり、並走してくれるランナーと一緒に実施したりと、複数人で行うのがオススメです。
「3kmのクルーズインターバル」は、1人で実施すると妥協しがち。

◆まとめ (3つ)

では、まとめまーす。

『Tペース(閾値/Threshold)』について、押さえておきたいこと

『Tペース』とは、
20~30分間継続できるくらいのペース(練習時)
60分間継続できるくらいのペース(レース時)

『Tペース』トレーニング(閾値トレーニング)を行うことで
「LT値(乳酸性作業閾値)」の向上が期待でき、「ラクに走れる最速ペース」が上がる。

『Tペース』トレーニングの具体的な練習メニュー例は・・・
テンポ走 (20分間走)
2km × 3~5本 クルーズインターバル【オススメ】
⑶ 3km × 2~3本 クルーズインターバル【上級者向け】

■参考書籍、リンク■

『ダニエルズのランニング・フォーミュラ』 / ジャック・ダニエルズ 著

「ダニエルズ理論が絶対的に正しいという訳ではありませんが、40年以上もの長い間長距離ランナーの間で愛読されている本であり、現在巷に出回っているマラソン理論書のほとんどはこの「ダニエルズ理論」に基づいていると言われています。

まさに“長距離ランナーの教科書”ですね。
僕も大変参考にしていて何度も読み返しています。

ランナーであれば一度は読んでおいた方が良い本です。

「ダニエルズ理論」シリーズ関連記事

「ダニエルズ理論」はとてもボリューミーな内容です。
1つの記事で解説するのは到底無理なので、シリーズ化して解説していきますので、ご興味ある方は以下から少しずつ読み進めてみてください。

↓↓↓

ウエハラ
ウエハラ
以上、ウエハラでした。

楽しいランニングライフを!